「歯周病も、きちんと歯磨きをすればそのうち良くなるだろう」とお考えの方は少なくありません。実際、「歯周病 歯磨きで治る？」と調べてから受診される患者さまも多くいらっしゃいます。
本記事では、歯周病は本当に歯磨きだけで治るのかという疑問への答えと、歯周病の治療法を分かりやすくお伝えします。
歯周病は歯磨きだけで治る？
結論からお伝えすると、歯周病は“歯磨きだけ”で元通りに治る病気ではありません。
ただし、毎日の歯磨きはとても大切です。歯ぐきの炎症を落ち着かせたり、これ以上悪くならないようにしたりするために、大きな役割があります。歯ブラシが届きにくい場所にこびりついた歯石や汚れは、どれだけ丁寧に磨いても、ご自宅のケアだけでは取りきることができません。
そのため、「ご自宅で汚れを減らすこと」「歯医者で専門的なクリーニングや治療を行うこと」この2つを組み合わせることが大切です。
歯磨きで「治る」と「進行を止める」は違う
歯周病の初期段階では、プラーク（歯垢）をしっかり落とすことで、赤みや腫れが落ち着きやすくなります。このような状態は、「歯磨きによって症状が良くなる＝治ったように感じる」こともあるでしょう。
一方で、歯周病が進行すると、歯を支えている骨そのものが少しずつ溶けていきます。一度失われた骨や組織は、歯磨きだけで元通りに戻すことはできません。
この段階では、「歯磨きで治す」というよりも、「これ以上悪くならないように進行を食い止める」という考え方が必要になります。
そもそも歯周病とは？
歯周病は、歯そのものではなく、歯を支えている歯ぐきや骨が炎症を起こす病気です。
歯と歯ぐきの境目にたまったプラーク（細菌のかたまり）が原因で、歯ぐきが腫れたり、赤くなったり、歯磨きのたびに血が出やすくなったりします。
歯周病は痛みもなく、ゆっくり進行しやすい病気ので、「痛くないから平気」と思っている間にも、少しずつ歯を支える土台が傷んでいくことがあります。
初期段階：歯ぐきの炎症「歯肉炎」
はじめの段階は「歯肉炎」と呼ばれ、歯ぐきの表面だけに炎症がある状態です。
この時期は痛みがほとんどなく、「ちょっと血が出るくらいだから大丈夫」と見過ごされてしまうことも多くあります。
進行した段階：骨が溶けていく「歯周炎」
炎症が長く続くと、細菌が歯ぐきの奥に入り込み、歯を支える骨が少しずつ溶けていく「歯周炎」へ進行します。
そうなると、歯ぐきが下がって歯が長く見えたり、噛んだときに違和感が出たりすることがあります。
放置すると歯を失うだけではないリスク
歯周病をそのままにしておくと、歯を支える骨が大きく減っていき、歯がグラグラして抜けてしまうことがあります。歯を失うと、噛みにくくなるだけでなく、噛めるものが限られ、食事の楽しみが減ってしまうことも少なくありません。
また、歯周病はお口の中だけの問題ではなく、全身の病気との関係も指摘されています。
歯ぐきの炎症部分から細菌や炎症物質が血液に入り、糖尿病や心臓・血管の病気などに影響する可能性があるといわれています。
歯磨きで治ると思って放置すると危ないサイン
出血や腫れが続いているのに様子を見てしまっている場合
歯磨きのときに血が出ると、「力を入れすぎたかな」「今日はたまたまかな」と済ませてしまいがちです。
しかし、同じ場所から何日も・何週間も出血や腫れが続く場合は注意が必要です。これは歯ぐきの炎症が続いており、歯周病が進行しているサインかもしれません。
- 歯磨きのたびに毎回血が出る
- 触るとぷよっと腫れている
- 冷たいものがしみる
こうした状態が続くときは、歯磨きだけで様子を見るのは危険です。
痛みがなくても歯が揺れ始めている場合
痛みはないのに歯が揺れている場合も、歯周病が進んでいるサインのひとつです。
歯が揺れるのは、歯を支えている骨（歯槽骨）が少しずつ溶けて弱くなっている可能性が高い状態です。
ここまで進んでしまうと、どれだけ丁寧に歯磨きをしても、歯磨きだけで元通りに戻すことはできません。
強く噛んでいないのに違和感がある、一部の歯だけ浮いたように感じるといった症状がある方は、お早めにご相談ください。
何年も歯石を取っていない場合
「毎日ちゃんと歯を磨いているから大丈夫」と思っていても、長いあいだ歯石取りやクリーニングを受けていない方は注意が必要です。
歯石のまわりにはプラークが付きやすく、歯周病が進みやすい環境になります。自分ではきれいに磨いているつもりでも、見えないところに汚れが残っていることも少なくありません。大きな症状に繋がる前にお口の検査をしておきましょう。
忙しさを理由に受診を先延ばしにしている場合
お仕事や家事・育児で忙しいと、
「気になるけれど、時間がないからまた今度…」と受診を後回しにしてしまいがちです。
しかし、歯周病は時間がたつほど進行し、治療期間も通院回数も増えてしまう病気です。先延ばしにしているあいだに悪化してしまうと、治療期間が長くなる他、費用や体への負担も大きくなってしまいます。
少しだけ時間をつくって受診していただくことが、将来の負担を減らすことにつながります。
歯医者だからこそできる歯周病の専門的な治療
歯周ポケット検査
歯と歯ぐきのすき間の深さを、小さな物差しのような器具で測っていきます。この検査によって、歯周病になっているのか、どのくらい進行しているのかが分かります。少しチクッと感じることがありますが、短時間で終わる検査です。
歯石取りとクリーニング
専用の器具（超音波スケーラーなど）を使い、歯ぐきの上についた歯石や目に見える汚れ・着色を丁寧に取り除いていきます。歯石を減らすことで、歯ぐきの腫れや出血が落ち着きやすくなり、毎日の歯磨きもしやすくなります。
スケーリング・ルートプレーニング
スケーリング・ルートプレーニングは、通常のクリーニングでは届きにくい歯周ポケット内に細い器具を入れて、歯の根の表面をなめらかに整えながら歯石や細菌を取り除く治療です。治療中の痛みが心配な場合は、必要に応じて麻酔を使うことも可能です。
歯周外科治療
歯周外科治療では、歯ぐきを開いて歯根を直接見ながら、歯石や感染している組織を取り除き、状態をみながら失われた組織の回復を目指す処置を行っていきます。
「外科」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、局所麻酔で行うため、治療中に強い痛みを感じることはほとんどありません。
歯周病か気になったら、【ヒロデンタルクリニック】へご相談ください。
歯周病は、痛みが出る前の段階でチェックするほど、歯を残しやすい病気です。
出血や腫れ、歯の揺れなどが少しでも気になっている方は、「大したことじゃないかも」とそのままにせず、一度お口の状態を確認しておくことをおすすめします。
歯周病が気になる方、歯磨きだけで様子を見ていて不安な方は、ぜひ伊勢崎市にある【ヒロデンタルクリニック】へご相談ください。